【中国・北京】中国を代表する文学者「魯迅」の故居、北京魯迅博物館
中国を代表する文学者、「魯迅」の博物館です。中国国内では、国民的人気を誇る作家の一人で、革命文学の担い手として高い評価を受けています。日本で言えば、夏目漱石のような位置付けですね。
若い頃は、日本の仙台に医学生の卵として留学をしますが、母国中国の人々が虐げられる映画を見て、一念発起し文学者を目指したと伝えられています。
仙台を後にした魯迅は、中学校教師として過ごした後、民国政府の成立とともに北京に移り、官吏の職につきます。北京で、初めての小説「狂人日記」や革命文学の傑作「阿Q正伝」などを書き上げました。
北京時代の最後の2年余りと短い期間ですが、魯迅は北京魯迅博物館の場所に住居を構えていました。
この住居に住んで大学講師の傍、文学作品を発表していましたが、北京を支配していた軍閥政府を批判したことで、政府から追われる身となり北京を後にすることとなります。(軍閥政府の対日政策が軟弱なことを批判したといわれています。日本人としては、考えさせられますね。)
中国共産党政権から高く評価をされている、魯迅の博物館だけあって、当然のように無料で見学をすることができます。
魯迅に関する資料が大量に所蔵されており、コンパクトな見かけによらず、見応えたっぷり。見学には、1時間以上かかります。
写真パネルなどの展示も多いので、魯迅に関して興味をお持ちの方なら、中国語が苦手でも楽しめると思います。
魯迅の著作に使われた挿絵の版画の数々。
珍しいところでは、今は亡き西武美術館(のちのセゾン美術館)の「魯迅展」のポスターが展示されていました。西武が文化の先端を突っ走っていた時代のことでしょう。
魯迅以外にも中国に関わる文学作品の展示もあります。下は、有名な小説「大地」パール・S・バックのパネル。
近くに行きたい場所があったので、「無料だし〜」と、寄っただけでしたが、好きな小説に関する展示が出ていたので、たいへん面白かったです。魯迅のことに少しでも興味のある人なら寄ってみて間違いないかと。
アクセスは、地下鉄 「阜成门」駅から徒歩5分ほど。細い通りの突き当たりにあるので、曲がり角を見逃さないように。曲がるところに、案内の看板が出ています。
付近の見どころ
博物館の付近は、北京の昔ながらの下町が広がっていますので、見学がてら散歩をしてみると面白いですよ。博物館のそばには、地元の人が訪れる、食堂や食料品店があります。
また、東に500メートルほど行ったところに、元の時代から続く、白塔寺というチベット仏教寺院があります。シンボルの美しい白塔は、一見の価値があります。中に入るのは有料ですが、境内の外からでも見ることができるので、博物館に訪れた際には、寄ってみてください。
白塔寺のさらに東には、歴代帝王廟、地質博物館がともに徒歩圏内にあります。
関連情報
阿Q正伝
魯迅の代表的著作。村の人々から馬鹿にされている、無知で貧しい阿Qの視点で、革命前後の中国人の精神を鋭く批判している。小説としては、非常に読みやすく、それだけに多くの人々に影響を与えたと言われています。
青空文庫でも公開されているので、無料で楽しむこともできます。
大地
全4巻の長編小説ですが、三部構成で各部だけでも独立した小説として楽しむこともできます。主人公の王龍が、必死に生きることで貧農から富農へと駆け上がっていくことで様々なドラマが展開されていきます。こちらも革命前後の中国が舞台となっています。一族3代にわたる壮大なストーリー。
読み始めると、はまってしまい、寝るのも忘れて読んだことを覚えています。
【中国・北京】地下鉄2号線で簡単に行ける、北京最大のチベット仏教寺院「雍和宮」と「北京孔子廟」
北京市の環状線、地下鉄2号線。北京を観光するなら幾度となく、お世話になることになるでしょう。その2号線の北部に「雍和宮」という駅があるのをご存知でしょうか。
駅の名前は、駅の上にある雍和宮からとられたものです。もともとは、離宮として「雍正帝」が親王だった時代の住居で、「乾隆帝」が生まれた場所でもあります。
清王朝の時代は、皇帝が生まれた場所は、引き続き住居として利用することが許されず、寺などにするのが習わしでしたので、現在のようなチベット仏教寺院へと改装されます。
特徴的なのが、皇帝にしか許されない黄色の瑠璃瓦を載せていること。これは、「雍正帝」が亡くなった後に、埋葬するまでこの「雍和宮」に安置されました。そのときに吹き替えをしたそうです。まるで故宮の建物であるかのようです。
敷地は決して広くはないですが、伽藍が何重にも並んでおり、見応えはたっぷり。しっかり、見ていくと1時間以上かかると思います。
参拝客か多く、観光地ではなく、地元の人たちの信仰の場所となっています。
一番の見所は、一番奥(北側)にある万福閣に安置されている、世界最大の木造と言われる16メートルの弥勒菩薩の立像です。
ちなみに日本最大の木造仏は、和歌山市の紀三井寺あり、約11メートルです。11メートルでもすごいと思いましたが、伽藍の規模、立像の大きさ、ともに雍和宮の方が見応えがあります。
ただ、豊臣秀吉が建立した京の大仏は、木造ながら19メートルあったと伝えられており、本当であれば、京の大仏の方はより大きいことになります。
建物内部が吹き抜けになっており、天井いっぱいまでの高さがあります。私が訪問した時は2階からお坊さんの祈りが聞こえてきて、たいへん厳かな雰囲気でした。
上記の写真は「CC BY-SA 3.0」で公開されています
どうですか、この見事な弥勒菩薩像。香木として有名な白壇でできているそうです。いったい、どのぐらいの価値があるのでしょうね。
路地はおしゃれスポット
すぐそばの路地歩きも楽しいのが、このエリアの特徴です。
雍和宮のすぐ西側にある、五道营胡同には、伝統的な住居をリノベーションしたカフェやレストラン、そしてゲストハウスが並んでいる、文化的なエリアです。交通の便もいいですし、静かなので、宿泊にもオススメです。
道路の入口には、北京精進料理の有名レストラン「京兆尹」のお店もあります。お値段さえ許すのであれば、雰囲気、味ともに最高らしいです。サイトを見てみると、一人当たり400元ぐらいかかるみたいです。
私はお値段が許さなかったので、遠慮しました(笑)奥には、もっとリーズナブルなお店もたくさんありますので、ご安心を!
北京孔子廟へ
もう一つの見所が、北京孔子廟です。槐(えんじゅ)の並木道と牌楼が目印です。街路の上の牌楼で現存しているのは、数少ないらしいです。(交通の邪魔ということで、撤去されてしまったみたいです。)
境内は静かな雰囲気。こちらは観光客の訪問ばかりですね。どこの国でも孔子廟は静かなところが多いですね。近年では、孔子の再評価がすすんでいると言われていますが、先ほどの「雍和宮」と比べると、参拝している人は皆無に近く、訪問者も歴史的施設として見ているだけといった様子です。
孔子廟の隣にあるのが、国子監という官吏の教育施設。未来の官吏を育てるための教育を行っていました。敷地内にはたくさんの石碑が残っています。教科書代わりに使われ、拓本をして多くの学生が勉強をしたそうです。
(終わり)
おまけ
北京に来ているとはいえ、1回ぐらいは広東料理、特に飲茶を食べたいと思いませんか。中国茶と一緒に、美味しい点心。これが大好物で、大好物で、なかなか日本で食べるとお酒と一緒だったり、変にコースになっていたりと、なんか違うんですよね。
実は、駅のそばに金鼎軒という広東料理の有名店があります。一人100元ぐらいとリーズナブルなお値段で、飲茶を楽しむことができます。24時間営業ですので、好きな時間に訪問してみてください。
注文表にチェックするスタイルですので、中国語が苦手でも安心です。
詳細な場所は下記をクリック。駅から高架道路をくぐって、地壇公園に行く途中にあります。地壇公園は、皇帝が地の神様への祭礼を行う施設で、天壇と対になる場所です。
関連情報
参考文献
6年前と少し古い本ですが、歴史的建築物を中心に紹介しているので、あまり問題はないと思います。丁寧に細かく、歴史的経緯を記述していますが、行く前に読むとなかなか興味が湧きづらく、なかなか読み進めるのが難しいかもしれません。
行く前よりも、行った後に、「あ〜こんな場所だったんだ」と読み返してみたほうが楽しめるかもしれません。文字数の限られている新書という形態ながらも、北京の有名な歴史的建築物はひととおり網羅しています。
ガイドブックの簡単な説明では物足りない方にオススメです。
【三重・熊野】エメラルドグリーンに輝く滝壺を持つ、布引の滝(後編)
前回の記事の続きになります。
観瀑台は役立たず?遠景からの滝姿
お不動さんを後にして、先ほど通り過ぎた観瀑台へ向かいます。
駐車場から100メートルほどでしょうか。白い観瀑台が整備されていますが、登っても木がじゃまで肝心の滝はまったく見えない、役立たずな代物。
不動尊と一緒で、切らずの森の中なので、邪魔だから木を切ろうというのも簡単にはできないのでしょう。実のところ、歩道から見るのが一番です。
(葉っぱが落ちる冬季なら景色も違ってくるのかもしません。)
この場所から見ると、3段の滝に見えますが、実際には隠れた場所にもう1段上があるり、全部で4段の滝となっています。
花崗岩の巨石の上をさらさらと流れる、本当に美しい滝です。どの滝壺水面が滑らかで、滑らかで、それはきれいな景観です。
かと言って、水量の少ない滝なのかというと、そんなことはありません。まさに秘境に流れる神秘の滝そんな言葉が似合う滝です。
実際は車でいけちゃいますけど (*>_<*)ノ
相当なスキルがないと無理でしょうが、上の滝壺のそばからも見てみたいものです。
動画バージョンも。これだけ落差が大きいのに、音が静かなのがおわかりいただけるでしょうか。
エメラルドグリーンに輝く、神々しい滝壺へ
道路からは、滝壺へ降りる遊歩道が整備されています。かなり石が転がっていたり、ところどころ、柵が壊れていたりと手入れが行き届いていない状況が伺えますが、一方でかなり古い時代のものと思われる石垣で守られていたりと、この道路自体は、修験道のためでしょうか、相当古い時代から整備されていた様子です。
途中に巨大なライトが放置されています。ライトアップをしていた時期があるのでしょうか??電気を引くのもかなり、難儀そうな場所ですが。
5分ほどで滝壺へ到着。落差の大きい滝の割に、驚くほどしずかで、滑らかな水面が、神々しくさえあります。
あまりの美しさにいても立ってもいられず、すくって水を飲んでしまいました。夏にもかかわらず、冷たくて、甘みのあるおいしいお水でした。(個人的には、1週間前に行った名水「菊泉霊水」よりもおしかったです。)
※安全性を確認したわけではありません。腹痛などにはなりませんでしたが、お水を飲むのは自己責任で!
遠くから見た姿も美しかったですが、滝壺からの滝もなかなかのもの。
でも一番、美しいのはやはり滝壺でしょうか。久しぶりにいいもの見せていただきました。
実際に行ってみて
日本の滝100選に選ばれていますが、観光地としての整備は、最低限の設備のみと行ったところ。その分、秘境感があり、気分を盛り上げてくれます。
布引の滝以外にも周囲にはたくさんの滝があるらしく、付近の林道を散策してみるとより楽しめるかも。山奥ですが、修験道のためでしょうか、祠も点在しており、歴史好きにもオススメです。
林道1キロをドライブが難儀ですが、対向車さえ来なければ、ヘタクソドライバーの私でも余裕でした。問題は、対向車が来たときですね、場所によってはバックしないと対向できないかもしれません。ここが唯一の難点ですね。
次はどこへ行こう
丸山千枚田
熊野市市役所から、車で15分ほど。山間に広がる、手入れの行き届いた美しい棚田群。
鬼ヶ島
リアス式海岸の絶壁。おどろおどろしい、風景は一見の価値あり。
花の窟神社
巨石が御神体となっており、社殿のない神社として有名。日本書紀にも登場し、一説には日本最古の神社とも言われています。国家神道として整理される前の信仰のあり方を伝える貴重な歴史遺産。世界遺産にも認定されています。