【滋賀・坂本】どこにも行けない駅には、神秘的な洞窟がありました(坂本ケーブル・ほうらい丘駅)
以前の記事を、書き直して写真も調整しました。
秘境駅「ほうらい丘」駅へ
「秘境駅」という言葉をご存知でしょうか?
人家が周りにない場所にある駅を示す言葉で、近ごろは鉄道会社も観光PRに使いはじめ、一般的な言葉になってきました。
今回、訪問した駅も秘境駅の一つ、「ほうらい丘駅」。坂本ケーブルの中間駅です。
坂本ケーブルは、滋賀県の坂本から比叡山へ参拝するためのケーブルカー。日本最長のケーブルカーで、キャッチフレーズは「長さも、眺めも、日本一。」。
日本一の眺めというのは言い過ぎかもしれませんが、琵琶湖を下に眺めながら、だんたんと山を登って行く景色は、風光明媚。
ふもとの坂本の街も古い街並みが残っており、見所も多い場所です。古くは比叡山の僧侶が高齢になって、山での暮らしに耐えられなくなると、坂本にある「院」へ降りてきて暮らしたのが坂本の街の主な役割でした。今でも僧侶の心を慰めるために、つくられたであろう美しい庭園や立派な建物が残っています。
また、比叡山と同様に京都の鬼門の方向にあるので、お寺や神社で、京都を守る役割もあったそうです。
昔の高級老人ホームと言ったら、言い過ぎでしょうか。荒々しい修行の場である比叡山とは反対に、おだやかで優しげな空気の街になっています。
ほうらい丘駅
噂通り、降りても「霊窟の石仏」という観光名所があるのみで、どこにも行くことができません。
ケーブルカーなので2つの列車が同時に進行と停止をしなければなりません。ちょうど反対側にもたて山駅があるので、どうせ停まるなら駅を作ろうということで、後からできたのがほうらい丘駅。この洞窟もケーブルカーをつくるときに移動させた石仏を安置するために造られた、駅あっての後付けの観光地らしいです。
反対側のもたて山駅は、キャンプ場があるので駅がつくられたそうですが、今ではそのキャンプ場もなくなり、他に観光スポットもないので降りる人はほとんどいないようです。今後も途中駅が残り続けるのは、難しいかもしれません。
ケーブルカーの途中駅というのも珍しいですよね。坂本ケーブル以外では、奈良の生駒ケーブルぐらいしか見たことがありません。
さきほどどこにも行けないといいましたが、
正確に言うと登山道があります。順路と書かれていますが・・
しかし、木々が生い茂っており、とてもじゃないですが進むことができません。トゲトゲした草まで生えています。冬なら草が枯れて行けるかもしれません。
登山道もかなり近くを通っており、ハイキング客の声がときおり聞こえるほどなのですが・・完全に廃道となっています。
神秘的な霊窟の石仏
さて、駅の存在意義でもある、唯一の観光スポット「霊窟の石仏」はケーブルカー工事中に出土した石仏を収めた洞窟。
うすぐらい洞窟にびっしりと出土した石仏が収められており、とても神秘的です。
洞窟の内部の様子。うっすらと光が入る中に、石仏がならぶ光景は、この世のものとは思えないほど幻想的です。
見所はこれだけですが、降りてみる価値はあると思います。
降りる人はほとんどいないので、ケーブルカーが行ってしまうと、完全に一人ぼっちになります。
私が訪問した時は日中だったので、木々の隙間から爽やかな光が差し込み、川のすぐ反対側にある高校から部活の練習の掛け声が響く、状態だったので怖さを感じることはありませんでしたが、夕方、暗くなってからだとかなり不気味でしょう。
なお洞窟のそばの斜面にもたくさんの石仏があります。
石仏は織田信長に焼き討ちされた僧侶を悼んで地元の人が建立したと、伝えられていますが、なぜ人里離れた場所にたくさんの石仏があるのか不思議です。昔はこのあたりにも集落があったのでしょうか?
次のケーブルカーが来るまで待たなければならないので、時間がかかってしまうのが欠点ですが、霊窟、石仏ともに一見の価値があると思います。
帰りの電車はインターフォンで呼び出して止めてもらいます。インターフォンを押さずにホームで待っていても、通り過ぎてしまうのでご注意を(笑)
地図
最後にお得な情報を一つ。
坂本ケーブルは、関西私鉄乗り放題パス「するっとKANSAI3Dayチケット(5,200円)」、「するっとKANSAI2Dayチケット(4,000円)」で乗ることができます。坂本ケーブルだけで往復1,620円しますので、関西以外から訪問を予定している方で電車に乗って移動する方はぜひご検討してみては。
(ただし、京都側から比叡山に登る叡山ケーブルとロープウェイは対象外なのでご注意ください。)
詳しくは、公式サイトで確認してみてください。
事前に近畿以外のエリアで買わないといけませんので、ご注意を。
IC化の影響を受けてチケットが廃止になりました。いろんなところに行けて、最高のチケットだったのに残念です。