「旅」のことのはぐさ

タイトルの「ことのはぐさ(言の葉ぐさ)」とは話題のことです。旅の話題を幅広く掲載したいと思っています♪

【三重・熊野】鬼が住むと伝わる絶壁、鬼ヶ城

紀伊半島の南部、熊野市。古代からの巡礼の道として世界遺産になった、「紀伊山地の霊場と参詣道熊野古道)」が有名です。

そのひとつに含まれているのが、絶壁の名勝「鬼ヶ城」です。荒々しい名前の通り、急峻な岸壁が続いており、崖にへばりつくように細い遊歩道で周遊することが可能です。

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地元では、古くから知られた名勝の地だったようですが、本格的な観光開発は昭和初期に「日本百景」に選定されときからのようです。地元の人々の手によって、遊歩道が整備されたことが記録されています。

観光の拠点、鬼ヶ城センターへ

まずは、観光の拠点となる熊野市ふるさと振興公社が運営する「鬼ヶ城センター」へ。無料の広々とした駐車場が整備されており、建物自体も最近リニューアルされた真新しい建物です。

お土産屋、レストラン、カフェなどが併設されており、地元ならではの食事やお土産を購入したりすることもできます。那智黒石の置物や、新姫(熊野市の特産品の柑橘類、アレルギーを抑える効果があるらしいです。隣の北山村の特産品である「じゃばら」に似ているのかな?)の加工品などがあります。

駐車場の中には、漁協の運営する水産物直売所もありました。私が訪問した時は、時間が遅かったので、すでに閉まっていましたが、メニューを外から見ると、リーズナブルな値段(500円〜600円)で海鮮丼などを楽しむことができるようでした。干物などの水産物も販売してる様子です。営業時間が10時〜14時30分と少し短いので、興味のある方はご注意を。

鬼退治の伝説が残る島

鬼ヶ城センターの横から、鬼ヶ城への遊歩道が始まります。まず最初に目に入るのが、小さな岩だらけの小島が海に浮かんでいるのが目に入ります。

「魔見ケ丘(まみるがおか・マブリカ)」と呼ばれています。

その昔、坂上田村麻呂将軍が鬼退治に来た時に、鬼が岩戸に篭って攻めあぐねていました。その時、どこからともなく現れた童子が、島の上で舞を舞い、鬼が興味を持って岩戸を開けた瞬間に、坂上田村麻呂が弓を射って鬼をしとめたという伝説が残っています。舞を舞った童子は、千手観音の化身とも言われています。

右にある小さな2つの小島が、魔見ヶ丘です。青い海と空で本当にきれいでした。

舞を舞うにはギリギリの大きさですかね。ぴょんぴょんと跳びうつって舞っていたら見たくなっちゃいますよね(笑)

天然の石舞台、千畳敷

遊歩道をさらに進んでいくと、段々と岩肌が露出した荒々しい景色へ。岩を削り取って通路にした小さな洞門が見えてきます。

洞門を越えると、真っ平らな場所が広がり、石舞台のようになっています。古い時代にまだ海に沈んでいたときに侵食されて、えぐり取られた跡です。上からは岩が迫ってきており、規模・迫力ともに満点。階段を上る人の大きさと比べてください。

この場所は千畳敷と呼ばれています。ここまでは、バリアフリーの遊歩道で、お年寄りや小さな子供づれでも十分に訪問できると思います。

千畳敷から先は、遊歩道も狭くなり、石を削り取って作った階段が続きます。続いて奥の木戸と呼ばれる、こぶりな平場へ出ます。ちなみに左側の風化が進んだ階段は、古い時代に整備された遊歩道のなごりです。だいぶ丸くなっていますね。これと比較すれば、今の遊歩道はだいぶ歩きやすくなっていることがわかります。

残念ながら、台風の影響で遊歩道が壊れてしまっており、この先に進むことはできません。写真の中ほどに、茶色い柵がかろうじて見ることができるのが遊歩道です。細い報道が岸壁にへばりつくようにして存在しています。

歩いてみたら迫力満点でしょうね。ぜひ歩いてみたいですが、それだけに危険も多いのでしょう。現時点で復旧の見込みが立っていないようです。

下側に風化がすすんでいるギザギザした階段のようなものが見えますが、これは昔の遊歩道だと思われます。前後にも道だったらしきものが続いています。

波の高い日にはさらわれちゃいそうな、危険な遊歩道ですね。昔の鬼ヶ城観光は命がけですね。

2016年9月現在の遊歩道の通行状況

反対側(西側)から回ったらそばまで行けるのかというとそうでもないようです。

現時点では、西側からの遊歩道はほぼ入口付近で閉鎖されており、ほとんど歩くことができないようです。閉鎖区域にも神社など見所がたくさんありそうなので、悔しいですね。再び、道が通れるようになったらもう一度、訪問してみたいです。

鬼ヶ城センターには、どこまで通行できるか案内看板が出ています。波が高いときは、もっと厳しい通行規制が敷かれることもあるそうですのでご注意を。

鬼ヶ城の名前の由来

サミットで一躍有名になった、志摩から、険しいリアス式の海岸がこの鬼ヶ城の少し先まで続きます。この先は、延々と砂浜が和歌山県との県境まで続いて行きます。それだけに、この鬼ヶ城は、景勝の地というだけでなく、古くは軍事上の要所でもありました。

鬼ヶ城という名前は、鬼の伝説だけでなく、実際にこの地に城が建てられたことから名付けられた名前でもあります。信じられないことですが、この絶壁の上には城跡が残されており、駐車場横から散策道路が続いています。時間がなくて訪問は、叶わなかったのですが、上まで登ると堀や石垣の跡が少し残っているようです。また、城跡から熊野古道まで続く道路もありますので、熊野古道散策のついでに訪問することも可能です。

鬼交差点は退治された!

鬼ヶ城というとかつては、トンネルから出ていきなり交差点があり、そこを曲がってセンターへという、ドライバー泣かせの鬼交差点だったらしいですが、今は300メートルほど鬼ヶ城へ行くための道が本道を並走して、安全な場所で曲がれるように交差点の場所が移設されていますのでご安心を。

かつての合流地点だった場所です。本道とセンターへ行くための専用道路が並走するような形になっています。鬼をイメージしたと思われるモニュメントが出迎えてくれます。鷹みたいに見えますが(笑)

鬼ヶ城観光のためだけに、併設道路は、橋で海上にせり出すような形で建設されており、力の入れようが伺えます。熊野尾鷲道路の延伸に伴い、高速道路の終点そばにある、鬼ヶ城を観光の目玉の一つとして大々的に売り出していこうという、熊野市の施策の一つらしいです。

鬼ヶ城の景観は、地元が押すだけあって一見の価値ありと言えるでしょう。新宮市からも1時間かからず訪問可能な場所にあります。南紀・熊野観光の際にはぜひ、訪問してみてください。

次はどこに行こう?

花の窟神社

鬼ヶ城から車で10分程度。道路を挟んで向かいには日本で一番長いと言われる七里ガ浜があります。砂浜からは、遠景で西側からの鬼ヶ城の姿(鬼ヶ城センターからは反対側になります。)を眺めることもできますよ。 

 

ほくしょう

鬼ヶ城から車で10分程度。熊野尾鷲道路の終点そば、駅の付近にある、魚料理と中華そばのお店。夕食に炙りマグロ丼をいただきましたが、1000円であら汁までついており、たいへん美味でした。地元の人がひっきりなしに訪れており、ラーメンも大人気のようです。本当は、お酒と一緒に魚を食べたくなるようなお店でしたが、車なので残念無念。駐車場もあります。

営業時間:11時〜13時30分、17時〜21時(月・火休業)

住所:〒519-4322 三重県熊野市大泊町80

丸山千枚田

鬼ヶ城から車で30分程度。山中に広がる、手入れの行き届いた棚田群。未来の子供たちに残したい風景として、ユネスコの未来遺産にも認定されています。千枚田といいますが、実際には1300枚近くあるそうです。一時は現在の半分ぐらいの規模にまで衰退し、存続も危ぶまれた時期もあったそうですが、今は地元保存会を中心としたボランティアの手によって景観が維持されています。

布引の滝(オススメ)

鬼ヶ城から車で40分〜60分程度。道が細い。熊野市役所から林道を10キロほど進んだ場所にある、美しい滝。「日本の滝百選」にも選定されています。花崗岩の巨大な岸壁を静かに流れるその姿は一見の価値があります。道中には他にもいくつか規模の大きな滝があり、滝好きには大満足のスポット。