「旅」のことのはぐさ

タイトルの「ことのはぐさ(言の葉ぐさ)」とは話題のことです。旅の話題を幅広く掲載したいと思っています♪

100年前の旅行スタイル〜当時の人々は何を持って旅をしたのか

100年前の旅行の持ち物は、どうだったのでしょう。海外渡航といえば、船旅だったぞ時代、現代の旅行よりもはるかに長い時間がかかったことでしょう。その旅の荷物は、どうだったでしょうか?大正時代のガイドブックから辿っていきます。

身分によって異なる旅行用具

旅行用具は、この渡航の目的により身分などの相違にしたがい、千差万別にて到底一定することはできないけれども、だいたいの標準を示せば‥

との口上からはじまる、旅行用具の紹介。時代を感じるのが、身分によって持ち物が異なることが、あたりまえの社会だったということが読み取れます。

実際に、一等二等船客用具と三等船客用具でわけて紹介されています。

現在のガイドブックで、「ファーストクラス・ビジネスクラス用」「エコノミークラス用」などわけたら、みんな憤慨しちゃうでしょう(笑)

時代によって「あたりまえ」が全く異なることがわかります。

 

三等船客用具の旅行用具

船内寝具、一等、二等船客と異なり自用なるをもって、毛布2、3枚を用意すること。

手拭、歯磨、楊子(ようじ)

上草履

以上 

 

「えっ」これだけですか、先輩?

 

3等とはいえ、寝具を自分で持ち込んでいたというのは、驚きである。移民ならば、どうせ持っていくものだから手間はないだろうが、旅行者にとってはたいへん厳しい荷物になることでしょう。いちよう、貸し毛布もあったみたいですが、別料金だったみたいです。

なぜ、これだけ限られたもののなかに、楊子(ようじ)が入っているのかも不思議ですね(笑)何か意味があるのでしょうか。

今でも持っていくのは、歯磨ぐらいですね。

パスポート取得の時は、移民にも多くのページを割いていましたが、3等の客は、この本の目当てとする読者ではないのでしょうか?と思えるほどの大雑把振りです。

 

当時の船舶

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一等船客用具、二等船客用具

北米方面の場合

通常背広服

タキシード

ドレスシャツ

スチフカラー、ソフトカラー

ドレスガウン 浴室や便所に行くときに必要である。

山高帽、中折帽

鳥打帽、スリッパ

水飲みコップ 汽車旅行中に必要である。

燕服用靴1足、普通靴2足

化粧品具一切

下着類、ネクタイ、靴下など

雨具

 

さきほどとは、打って変わって華やかである。船上でのパーティなどに参加するためには、服が必要だったのでしょう。二等でもこれだけ、華やかということには驚きをかくせません。

船上でのパーティが二等でもあったということをうかがわせます。今よりもずっと限られた人だけが海外渡航を許されていたことが読み取れます。

その一方で細かく書いてあるようで、大雑把なガイドブックである、この荷物だけで旅行したらえらいことになりそう(笑)

今でも、お金持ちはいく先々でパーティに参加するので案外に変わっていないのかもしれません。エコノミーな私には伺う余地のない世界ですが。

 

南洋方面の場合

白詰襟 一打

フロックコート 一着

黒背広服 一着

雨外套 一着

フランネルシャツ 参打

靴下 一打位

ハンカチーフ 二打位

毛布 二三枚

蘭領東印度地方の旅館には何も毛布の備え付けがなく、明方気温が日中に比し著しく下降するので、この気候に順化しないものはすぐ罹病することがあるから必ず毛布の備えが必要である。

ヘルメット

キニーネ、アスピリン

南洋方面は、随分と実用的になってきます。驚くのは、毛布を持ち歩いて旅行をしていたとことですね。

なぜ靴下が一打で済むのでしょう。ぜったい、足りないと思いますが・・。まだ、当時は靴下を履くのは特別なときだけだったのでしょうか。

キニーネやアスピリンというのは、生生しいですね。 

毛布を持ち歩くというのは、なかなかにすごいですね。船で行くのでいまとは比べものにならないぐらい時間がかかったのでしょうね。

まとめ

以上が、大正時代の旅行用具でした。

ガイドブックが大雑把なのと、身分が違いすぎていまいち参考にならない(笑)

それだけ、海外旅行が限られた人々のものだったということでしょう。庶民でも旅行ができる現代に生まれて良かったです。

 

《参考文献》 海外旅行研究 (編)海外渡航研究会 邦文社 大正11年発行

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